2010/08/26

大丈夫か、マニュアル業界

TCシンポに行ってきました。
※マニュアル業界(制作会社やメーカー)の人以外にはほとんど知られていないと思う
いろいろなセッションに参加したかったんだけど、諸々の会社的事情(そんなとこに行ってるヒマあったら仕事しろとか高いから行かせられないとか)があって、自分でセッションを希望することもままならず割り当てられた貴重な1コマが
これからの紙マニュアル ~過去、現在から今後の紙マニュアルを考える~
でした。おお、これはきっと電子書籍と絡めての話だな。「これからの紙」てのは最後のアガキなのか。よし、紙派の言い分を聴いてやろうじゃないの。といった気分で猛暑の中馳せ参じました。
ところが。
当日、私のツイッター実況にお付き合いいただいた方はお分かりになったかと思いますが、電子化の「で」の字も出てきやしない。
まるでそんなものはこの世に存在しないかのごとく、「いかにマニュアルはあるべきか」て話でした。
いちいち「紙」て謳った意味がわからん。
セッションのキーワードに「優位性」とあったけど、その話はどうなっちゃったの?
少なくとも「紙」ならではの特性、「紙」でなければならない理由、どうやって「紙」メディアが生き残っていくか、また他メディアとの棲み分けは? て話が全くでませんでした。
肩すかし。
まあ、すかされっぱなしじゃ暑い中来た意味がありません。気になったポイントを羅列。

  • 紙マニュアルはホワイトスペースが大事。(→そうか、電子書籍では版の大きさが固定できない)
  • 見開き表示はインパクトが大きい。
  • 電子書籍ではどうなるんだろと思ったもの その1)縦横混在
  • その2)フローチャートのたぐい(操作手順とかの)
  • その3)PL! 強調表示がユーザーによって変えられてしまったら意味がない。
  • 電子書籍だと「絶対に読ませなければならないもの」はどう区別すればいいんだ?
  • 紙の場合は物理的な量の制限があるから、自然と盛り込む内容を精査するけど、電子化だと制限がない。そうなると余計な情報が増えて冗長になってしまうのかも。
  • マニュアルというものは、ユーザー(リーダー)が何を読むか決めるのではなく、メーカー(作り手)が何をどう読ませるかを意図できるようなレイアウトが必要。
  • 拡大鏡を使う弱視者はページ全体をみないで端から順に読んでいく。全体像が見られないから、全部を読み終わるまで何が書いてあるかわからない。苦労して読み終わって結果全く不必要な情報だった、ということがある。電子化のときも考慮が必要だな。
  • 紙マニュアルは「言語レス」の兆候。ローカライズでラクだな。あ、仕事なくなるのか?逆にw

他にもあったけど、あまりDTPとは関係ないから割愛。
ただ全体を通して思ったのは、マニュアル業界って閉鎖的で体制や考え方が古くないか?てこと。
今後がちょっと心配にもなりました。

4 件のコメント:

  1. 「ユーザビリティ」の一言で終わることを延々とお話されてた感じですね。DTP以前からある認識を言っただけで進歩がないなって思いました。

    手順書とリファレンスを分けて作成というのが電子書籍を視野にいれた場合の今後だと思います。
    手順書は紙を使って基本機能や独自のウリの機能の操作手順のみに絞り、目をひきつつ理解を助けるデザイン・レイアウトを求める。リファレンスは、ePubやインタラクティブPDFなどの電子書籍で作成して、検索機能を使うことで目的の解説を探しやすくする。可能であれば動画やアニメを使って「動き」による解説を盛り込む。

    rrrさんが求めていた内容と結論ってこういうことなんだろうなって思いました(笑)

    マニュアルでも操作マニュアルと教育用マニュアルだと考え方も変わってくると思いますが、地味だけどデザインに工夫が必要ということはあらゆるデザインに共通すると思います。
    駆け引きで難しいのが、原稿を読んでみて図化した方が良いのでは?というケースに、制作(デザイン)側がどこまで突っ込んで話しをするかだと思います。予算や納期の関係もあって、たいていは原稿内容はじっくり読まないで入稿されたテキストと図をレイアウトしてお終いじゃないかなと…。
    良いものを作ろうと思ったら相応のお金をかけましょうということですね(^^;

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  2. KOUJIさん、とてもためになるご意見ありがとうございました。あ、あとBlogの復活とても嬉しかったです。(こんなところで言ってどうする)
    そうなんです。2時間半もかけて言ってたことは「ユーザビリティ」。
    上に書き忘れましたが、もひとつ気になった発言がありました。
    「マニュアルを電子化してよいとユーザーが容認したのか?」
    あ、「電子化」の話、出てましたね。こういう形で(^^;
    作ろうとしているのが手順書なのかリファレンスなのか、はたまたユーザビリティなどを、考える時間もお金もなくメーカーから与えられた情報を並べているだけ、ていうのがマニュアル制作会社のほとんどの現状であるのはご指摘の通りで耳が痛いです。
    マニュアル業界はもうちょっと業界の外にも目を向けて、置かれている状況を客観的に考え直さないと、と思いました。

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  3. いやいや、マニュアル制作の仕事もしますのでわかりますが、単価を考えるとコスト的に見合わないので、付加価値としてレイアウト作業以上のことはなかなかできないと思います。
    予算についてはメーカー側のマニュアルに対する考え方がいちばんの原因だと思います。広告費と同じで削りやすいところから削っているのに、多くを求めているのですから。
    ボクのようにフリーだと収益や生産性はあまり考えないで、自ら提案したあとドツボにはまっても自己責任で済みます。それと、そうすることが納品したあと「良かった」との評判や次へ繋げるための、フリーだからできる付加価値だったりもします。でも、社員を多く抱える企業だと固定費が膨大になるので採算を考えるとそうはいかないですしね。

    twitterなんかを見てもわかるけど、必要な情報はタグを使って検索しますよね。インターネットもキーワードで膨大な情報の中から目的のものを探す。そういう行動が当たり前におこなわれている、常態化していることを考えると、情報収集能力というのは以前よりはるかに向上していると考えられます。そういう日常や人々の変化を考えると、リファレンスとしてのマニュアルは紙で提供するより電子化することがユーザビリティの向上になると思います。ユニバーサルデザインという分野も考慮するなら電子化した方が紙なんかよりも課題を克服しやすいと思います。
    なので、「マニュアルを電子化してよいとユーザーが容認したのか?」は、「むしろ根底では望まれている」だと思います。もちろん、年代層にもよりますけどね。その場にいたら質問タイムで聞いてしまいそうなほど違和感を感じます。紙での提供を望んでいるというリサーチ結果でもあるの?と。あと、資源確保という社会の流れにも反しますしね。
    こういうことは、制作サイドからメーカーに提言しないといけないと思いますし、生産力を活かせる制作会社の付加価値じゃないのかなと…。あくまでも個人的な考えですけど。
    って、自分のブログなりで書くべき分量ですね。すいません(^^;

    ブログの件、ありがとうございますー。できるだけ頑張って続けます。
    いまアップしてある内容、マニュアルのePubやインタラクティブPDF化を考えて、実際にサンプルを作成してみて感じたことやわかったことを書いてたりします。いまそういう方面に営業をかけているので、そうとは知らずにrrrさんの会社にもアポとりしてたりするかも?(笑)

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  4. マニュアルによりけりですが、「このレバーを上に」などというのはムービーが一番。見るが早いです。「こ、こんなにぐいっとやっちゃっていいのかな」などと思うことはよくありますし、結果、そうじゃなかったということもよくあります(笑)

    しかし、液晶パネルの出現パターンなどは、写真か図でパラレルに明記されていたほうがいいと感じます。こういうのはビデオやDVDだと見るのがかったるくなります(戻したり進めたり)。

    文字や写真、そして映像。これらの情報がシームレスに扱える電子書籍こそ、まさにマニュアルに向いていると思います。

    問題はデバイスの普及、そしてインストールの容易さですね。マニュアルを読むためにマニュアルがいるようでは本末転倒です。

    特にコピー機のメンテナンスマンなど、外で様々なトラブルに遭遇する人たちに使いがてがあるなと思います。

    あと、どういうインターフェースで実現できるかわかりませんが、指をしおりがわりに3つ4つはさんで「これがあれでこうだから、こっちがこうなってこっちに戻るってわけだ」という感じのことが電子書籍でできればいいんですよねぇ。とくにマニュアルを見るときは、ランダムアクセスが多数発生しますよね。設定手順となんかの表組みを照らし合わせるとか。

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